彼氏契約書
・・・視線が痛い。

水を少し飲んだ私は、痛い視線に気づき、

目だけを泳がせる。…蒼空が私を見つめている。

なんだかとても窮屈だ。

「…そんなに見ないで」

「いいじゃないですか、減るもんじゃなし」

「…すり減ります」

「…プッ」


・・・仕事場ではない今、普段の私を、蒼空はどう思うのか?

キャリアウーマンだって、普通の人なんだから。

「今日はどこに出かけますか?」

「?!…どこにも行きません」

「分かりました、じゃあ今日はゆっくりおうちで過ごしましょう」

「…家に帰る」

「じゃあお供します」

「しなくていい!」

・・・シュン。そんな言葉が思いついてしまう程、

蒼空の顔は悲しそうにシュンとなった。

なんだか、私が悪者みたいじゃないか?


「お願いだから、そんな顔しないで・・・

今日は本当に家に帰りたいのよ・・・

家の掃除も出来てないし、4日から私は仕事に出るつもりだから、

2日3日で、家の用事を済ませたいの」

「…そうですよね…僕がいたら、邪魔ですよね」

・・・う。またそんな顔をする。
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