彼氏契約書
「・・・・」

何も言わない美緒さん。

僕はもう片方の手で、美緒さんの髪を優しく撫であげる。


「僕は、そんなに頼りになりませんか?

・・・もっと頼ってください。

…美緒さんの為なら、僕は、何だってしますから」



「…嘘つき」


「・・・え?」



「薫子ちゃんと、上手くいってるくせに・・・」

「なんの事です?」


「今朝だって、2人であんな時間に・・・」

そう言った美緒さんの手が少し力が入る。


「美緒さん、それは誤解です」

「…誤解?」


「僕の手を握ってて、気づきませんか?」

「…風邪?」

その言葉に頷く。


「美緒さんと、社長を見て飛びだした僕は、

薫子さんとぶつかってしまって、・・・高熱のせいで、

意識も朦朧としてて、薫子さんが仕方なく、自宅へ連れ帰って、

看病してくれたそうです・・・あ。

風邪、美緒さんに移しちゃ悪いですね…出直さないと」
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