彼氏契約書
「美緒さん」

「・・・ん?」

「遅くなったんですが、これ、書いていただけますか?」

「・・・・・」

私の前に差し出した一枚の紙。

私はそれを受け取り、蒼空を見上げた。


「契約書です」

「…私でいいの?…本当に?」


「当たり前じゃないですか。美緒さん以外に、

それを渡すなんて事、ありえませんから」

そう言って蒼空は微笑んだ。



「蒼空は先にサインしてくれたんだ」

「美緒さんが書いてくれたら、帰りに区役所に出そうと思って。

お腹の赤ちゃんの事もありますし、早い方がいいと思って」


…私は契約書にサインした。


一生離れることのない、大事な契約書。


『婚姻届』


これでやっと、私たちははれて夫婦になった。
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