彼氏契約書
「美味い」

「…お世辞はイイよ」


「いや、マジで、美味いです」

「・・・///」

自分の料理を男の人に褒められて、私は顔を赤らめた。

実は初めての体験だ。大体男に料理を出すこと自体、

初めてなのだから・・・


いっぱい作ったはずのカレーは、

ほぼ、完売してしまった。・・・男の人ってよく食べるのね。

それが私の感想だった。


「お邪魔しました」

「手伝ってくれて、ありがとう、助かった」


「これくらいどうって事ないですよ。

何時でも言ってくださいね、何でも手伝いますから」


「・・・ん」


・・・そして、蒼空は大きく手を振りながら帰っていく。

その姿を見ていたら、思わず笑みがこぼれた。


「…バカなんだから」

そう言いながらも、私は蒼空に手を振り返している事を、

自分で気が付いていなかった。
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