彼氏契約書
「・・・須藤」

「…蒼空です」

「・・・」

ここは会社ですよ、須藤君。蒼空なんて呼べません。

公私混同は困ると言ったはずです。

何も言わず、目で訴えた。


「・・・言いたい事は分かりますが、

今は、まだお休みの最中です。それに、社員は僕と美緒さんの二人だけ。

気にすることは何もありません」


確かに正論ではあるが、私は今仕事中だ。

だからやはり、須藤と呼ばなきゃ、落ち着かない。


「須藤、あのさ」

私は深い溜息をつき、頭に手を当てた。


「お、まだ休みだって言うのに、仕事か?流石は専務とその秘書」

…いつの間に専務室に入ってきていたのか、

そう言ったにこやかな顔で立っている人物が一人。


「多嶋社長」

「見直したぞ、いや、普段もよくやってるんだけどな。

ご褒美に、飯連れて行ってやる、どうせ、まだなんだろ?」


「・・・」

多嶋社長の言葉に、私と蒼空は目を見合わせた。


多嶋雄一(36)この会社の社長で、デザインもずば抜けてスゴイデザイナー。

誰もが認める185㎝70㌔。細マッチョな体型な、

イケメン男。そして・・・
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