彼氏契約書
「おい、行くのか、行かないのか?」

「エ、あ、行きます、行きます、社長のおごりなら、

どこへでもついて行きます、ね、美緒さん?」

急に私にふってきた蒼空。私はただただ黙って頷いた。

考えていた事など、忘れてしまった。


「蒼空は、いつでも専務の事は美緒さんだな?

借りにもお前の上司だぞ?専務と呼びなさい」

そう言って一喝した社長だったけど、蒼空は知らん顔。


「美緒さんは、美緒さんです。それだけは譲りません」

蒼空の言葉に、社長は溜息をついた。


「美緒をあんまり弄ぶなよ」

「?!!」

社長の言葉に目を見開く私。


「そんな酷い事しませんよ!美緒さんは僕の「早く!」

蒼空の言葉を遮った私。

…蒼空が言い出そうとした言葉だけは、絶対に社長には知られたくない。



「早く行きましょう、トビッキリノごちそう、

楽しみにしてますからね、社長」

そう言って満面の笑みを社長に向ける。


「ったく、そんな笑顔で言われちゃ、いいとこ連れて行くしかないか」

そう言うと、私たちに手招きして、専務室を出た。
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