彼氏契約書
【蒼空side】

何で、社長との事を秘密にするんだろう?

何で、今まで彼氏を作る事すらしなかったんだろう?

何で僕には、心を開いてくれないんだろう?


それが何より悲しかった。


…専務室のドアの前。

ドアノブに手はかけたものの、開ける勇気が出なくて、

その場に立ち止ったまま、立ち尽くしていた。


『蒼空には関係ない』そう言われたら、

もうどうしていいかわからない。

僕がしている事が、美緒さんを苦しめてるんだろうか?

僕は、美緒さんにとって、ただの部下でしかないのか?


…どんなに自問自答しても、答えは出ない。


ただ一つ言えるのは、僕は心から美緒さんを好きだと言う事。


それだけは誰にも負ける気がしない。


そう思うなら、その気持ちを糧に、前に進むしかない。


…ガチャ。

ノックする事もなく、静かにドアを開けた。

美緒さんは、窓の外を見つめていたが、ドアの開く音に驚き振り返る。

その瞳には、光るものが・・・
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