彼氏契約書
「多嶋社長は社長で、私は雇われ専務です。

それ以上でもそれ以下でもありません・・・

仕事に公私混同するなら、このデザインも製品化は望みません」



「…美緒、その話とこれの製品化は別話だ。

このデザインは、社長の権限で製品化する・・・

皆には、そう通達するから」


私の目の前まで顔を持って来た社長。

私は驚いて固まる。


「女子社員を全員敵に回せとおっしゃっているんですか?」

ただでさえ、嫌われてるのに、そんな事をしたら、

仕舞には、愛人だの何とか言われかねない、そんなの勘弁。



「お前はこの会社の専務だ、仕事をきっちりこなしているのは、

すべての社員が分かっている事だ。

これが製品化されたところで、女子社員は何も言いはしない。

…絶対に言わせない、社長の権限で」


「・・・そんなところで権力を振りかざさないでください」


「いや、美緒を守る為なら、何でもするさ」


「・・・・」


「大体、美緒が別れを切り出さなければ、

俺たちはまだ続いていたのに」


「・・・話は終わったようなので、これで失礼します」
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