彼氏契約書
「だから…はい、出来た」

「・・・ぇ」

…やられた。呆気にとられてる間に、

蒼空が持ってきた契約書に、私の拇印がしっかり押されていた。



「そういう事なので、これからよろしくお願いします」

「ちょ、ちょっと待ってよ!私は契約なんか承諾してないわよ」


「そんな事を言っても、美緒さんの拇印はしっかり押されてます」

そう言って、勝ち誇ったような笑みを浮かべる蒼空。


「もぅ!勘弁してよ。蒼空は私の秘書で部下でしょ?

公私混同されちゃ困るのよ・・・

仕事に障ったらどうするのよ?私はオフィスラブなんて

これっぽっちも望んじゃいない…だからそれ返して」


ピョンピョン跳ねながら、契約書を奪おうと試みる・・・が。

身長差があり過ぎる、私には絶対的に不利な状況。

どんなに頑張って跳ねても、190㎝の蒼空が手を上げてしまえば、

取り返せるはずもない。


「これを返してほしければ、美緒さんの好きな人を見つけてください。

もっと仕事に打ち込めるように、大事な人を見つけてください」


「…今も、十分仕事に打ち込んでるわよ!」


「…でも、最近、デザインが行き詰っていませんか?」
「う``・・・」

痛いところを突かれた。
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