彼氏契約書
出ていったドアをしばらく見つめていたが、

ハッと我に返る。

「カバン」

…そうだ、カバンが人質になっている。

それを取り戻さなければ、家に帰る事も出来ない。


そう思い、私は急いで帰り支度を済ませると、蒼空を追いかけた。

「須藤」

…会社を出て、蒼空の姿を見つけるなり、そう呟く。


「今は、会社の外ですよね?」

それだけ言ってニコッと微笑む。

「・・・」

さっきの言葉を忘れたわけじゃない。

でも、素直に言えるはずもなく。


「言ってくれなきゃ、これ、返しませんよ」

「・・・もぅ、いじわる」

そう言って困った顔をすると、蒼空は少しだけ声を出して笑った。


「・・・どうします?」

「…バカ蒼空」

「・・・しょうがないな、いつになったらばかって付かなくなるのかな?」

クスクスと笑いながら、蒼空は私にカバンを返すと、

私の手の空いてる方を蒼空は掴んだ。


「人に見られたら」

「見せつけてるんですよ、美緒さんは僕のモノだってね」

「///」
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