彼氏契約書
突然声をかけられ、ハッと我に返りビクッとなった。

「どうかしました?」

「…ぇ、ううん。・・・何?」


「食事に行こうと思うんですけど、何か食べたいものは?」

「・・・・」

突然の質問に、答えに困る。

・・・が、そんな私を、蒼空は黙って答えを待ってくれていた。


「…蒼空に任せる」

「・・・・」

・・・何?私のこの答えには不服だって言うの?

黙り込んだまま、目だけを見開き、私を見つめる蒼空。


「蒼空が嫌なら、かえ・・?!」

「言いましたね」

言い終わらないうちに、私はなぜか、蒼空にギュッと抱きしめられている。


「・・・何をよ??」

訳が分からず、固まる。

…て言うか、この状況、明らかに恥ずかしすぎる。

ジロジロとこちらに視線を向ける通行人たち。


「バカって言わなかった」

「・・・・」

そんな事で、何も抱きしめなくても。
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