彼氏契約書
蒼空side


楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。

その言葉は本当だと思う。

美緒との時間は、一瞬の出来事のように感じられるほど

過ぎていくのが早い。


会計を済ませ、店を出ようとした時だった。

「おい、蒼空」

「・・・何?」

兄貴に止められ振り返る。

美緒は気を利かせたのか、先に外に出ていった。


「今の人だろ、前に言ってた人って」

兄貴の言葉に、黙って頷く。

「上手くいってるのか?」

「・・・さぁ」

僕の言葉に、兄貴は呆れたような笑みを浮かべた。

「呑気な奴だな、あんなに綺麗な人だから、

そんなに呑気に構えてたら、持っていかれちまうぞ」

「・・・もう、僕の計画通りだから大丈夫だよ」

そう言って微笑む。


「ふ~ん・・・まぁ、頑張れ。

あ、でも、一つだけ」

その言葉に眉間にしわを寄せた。
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