彼氏契約書
「愛ってすごいんですよ?」

「・・・何が凄いって言うのよ?」

溜息をつきながら聞き返す。


「うちのOrion社長、多嶋雄一さんをご存知ですか?」

「知ってるに決まってるでしょ?」


「彼は恋多き男性です。だから、今も尚、素敵なデザインの数々が書けるんです。

しかも、そのどの服たちも、すべて人気商品になっている」


「・・・・」

…確かに。うちの多嶋社長のデザインは、

社員のだれもが認めるほどのデザインばかりだ。

でもだからって、恋と仕事は別なんじゃないかな?そう思えてならない。


「愛を疑ってますね?」

「・・・」

…正解、愛なんて仕事には関係ない。


「まぁ、試に僕と付き合ってください。きっとわかります」

「・・・わかりたくない」


「と言う事で、これから初詣に向かいますから、

可愛い格好してくださいね?」

…満面の笑顔。…それに負けてしまった私。

渋々、着替える羽目に。まだ寝ていたいのに。

私の支度が終わるのを、リビングで待っていた蒼空。


「…ダメですね、僕は可愛い格好をしてくださいとお願いしましたけど?」

…ダメだしされてしまった。
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