彼氏契約書
「…須藤、終わった」

専務のデスクの前、出来た書類を僕に差し出した美緒。


「お疲れ様でした。僕ももう仕事が終わるので、送りますよ」

・・・その言葉に、美緒は素直に頷いた。

…本当に今日の美緒は、素直すぎて怖いくらいだ。


僕は、美緒から預かったデザイン画を、デザイン課に届け、

今度新たに始める企画の案を、企画課に届け、専務室に戻った。



「美緒さん・・・・・」

専務室に美緒を迎えには行った僕は、目の前の光景に、

言葉を失った。



「…入ってくるなら、ノックくらいしろよ」

低音の声が、専務室に響く。


僕はハッと我に返る。

「…美緒さんに何をしたんですか」

僕の問いかけに、相手は素知らぬ顔で答えた。



「眠ってる美緒に、キスしただけだ・・・それが?」


その言葉に、一気に頭に血が上るのが分かった。
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