彼氏契約書
…全く、最近の自分の行動にただただ驚いていた。

あの日、蒼空に家まで送ってもらった私は、玄関ホールで軽く手を挙げて、

帰ろうとしたけど、そうする事が出来なかった。


いつものような強引な蒼空がそこにはいなくて。

全然元気がないみたいで、私をぼんやりと見つめてるだけで。


・・・そんな蒼空を見ているのがただ嫌だった。


だから私は蒼空の目の前まで戻り、蒼空を見上げた。

「…どうしたんですか?」

蒼空はちょっと驚いた顔をしていた。


「・・・」

何も言わない私を見て、蒼空は少し困惑気味。

「一体どうしたんですか?車の中に何か忘れ物でも?」

そう言った蒼空は、後ろを振り返り助手席のドアを開けようとした。


「・・え、ちょっ・・・?!」

「「・・・・・・」」

その場の時間だけが止まった。

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