彼氏契約書
それから数日間は、何事もなく、蒼空とは、

上司と部下として、毎日を送っていた。

…今迄みたいに、やたら私に迫ったりすることもなくなって、

嬉しいような悲しいような。


「・・・何をブツブツ言ってる、美緒」

「・・・ぇ、いえ・・・」

私の顔を不思議そうな顔で見つめているのは、

大型ショッピングモールの出店の為の視察中である、

多嶋社長で。


バツの悪くなった私は、苦笑いを浮かべた。


「最近、ちゃんと休んでるか?」

「エ?はい、ちゃんと休みは貰ってるし、残業も少な目だと思いますけど」


私の言葉に、ホッとため息をついた社長は、

仕事の話しに切り替えた。


「ここだ、今度出店予定の店は」

そう言って指差されたスペースを見て、少しばかり、いや、

結構驚いた。


「…今回はまた、大規模な出店ですね」

「客からアンケートを取って、今回の出店枠を決めた。

こちらの会社も、快く承諾してくれたよ、今人気急上昇中だからって」
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