彼氏契約書
「美麗と俺は、親同士が仲が良かったから、

幼なじみみたいなもんだ…そうだよな、美麗」


「えぇ、多嶋社長の事はよく知ってるから、

私はこんな男、恋愛対象外だわ、わがまま男なんだもの」

そう言って美麗社長は笑う。


「美麗、オレの方が年上だぞ」

ピクリと眉を動かし、そう呟く。


「だって、本当の事じゃない。

…私は、専務さんの隣にいる、若い、優しそうな秘書さんが好みだな」

そう言って、明らかにフェロモンムンムンの顔で、蒼空を見つめた。


「…嬉しい言葉ですが、僕にはあいにく、彼女がいますので」

蒼空は優しい笑顔で美麗を跳ね除けた。


・・・その事が、なんだかとても嬉しく思った。


そのせいか、私の顔も、自然に緩んだ。


「…あら、彼女なら、全然、私にもあなたを奪う権利があるわね」


「「・・・・」」

その言葉に、私も蒼空も、言葉を失った。


「美麗、いい加減、仕事の話をしろよ」

呆れ顔の多嶋社長が、そう言ってくれたおかげで、

その場は丸く収まった。
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