彼氏契約書
・・・美麗社長は、当然と言うような顔で、

仕事が終わるまで、蒼空の隣を離れようとはしなかった。

蒼空は、取引先の社長と言う事もあって、

無下に突き放す事も出来ず、終始困った様子で、美麗社長の相手をしていた。


…しょうがないのは十分わかっていた。


それでも、心底ヤキモチを妬いている自分がいて、

それを隠して仕事を終わらせた。

・・・ヤキモチなんて、仮の彼氏相手に何でそんな感情を抱くのか。


専務室。

私は黙々と仕事をこなしていく。

「美緒さん、・・・何を怒っているんですか?」

「・・・何が?」

蒼空に顔を合わせる事もしないで、仕事だけに集中する。


「僕、何か気に障るような事をしましたか?」

「…そんな事ないわよ」

蒼空が悪いわけじゃない。

だからと言って、美麗社長が悪いと言う訳でもない。


…これは自分の心の問題。
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