彼氏契約書
「はい、仕事終わり」

私は出来あがった書類を蒼空に手渡すと、カバンを持ち、

スッと立ち上がった。


「…もう、お帰りですか?」

「…たまには早く家に帰って、家の用事済ませないとね」

当たり障りのないウソをつく。

そうでもしなきゃ、ここから逃げられない。

今は、蒼空の傍にいられない。


「僕も行きます」

「?!・・・何言ってるの?」

蒼空の言葉に驚きつつ、一歩後退する。


「怒ってる理由が分かるまでは、美緒さんの傍を片時も

離れるつもりはありませんから」


「何バカなこと言って「バカでもアホでも、そうするって決めましたから」

「・・・・」

本気だと分かり、次の言葉が思いつかない。

黙り込む私をよそに、蒼空は淡々と業務を済ませ、

私のカバンをひったくると、駐車場に向かって歩き出した。


「須藤」

「・・・・」

今度怒っているのは、蒼空のようで・・・・
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