彼氏契約書
沈黙の車内。

重い空気が漂い、息が詰まる。

…蒼空を盗み見ると、明らかにムッとした表情で。

なぜ、蒼空が怒らなければいけないのか。

私は首を傾げる。


車は、空いてる駐車スペースに止まり、蒼空はエンジンを切ると、

車を降りた。

…私はその後を無言でついて行く。


部屋の前、足を止めた蒼空が、突然こちらに向き直った。

私はビクッとなり、固まる。


「…鍵」

「・・・へ?」


「鍵がないと、入れませんけど」

「・・・本気で一緒にいるつもり?」


「・・・・」

その問いに返事は返ってこないが、目がイエスと言っている。

私は溜息をつくと、カバンから鍵を取り出すと、ドアのかぎを開けた。
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