彼氏契約書
6.一夜限りの本当の恋人
重い空気の中、仕事はどんどん進んでいく。

・・・さっき、あんなことがあったのに、

午後から美麗社長と担当者と打ち合わせなんて。


「…須藤、行くよ」

「はい…社長は?」


「今別件で出ていますので、直接ショッピングモールの方へ行くと、

先程連絡がありました」


「…そう、じゃあ行こうか」

私の言葉に、頷いた蒼空は、一歩後ろを歩いてくる。


…私の背中は、どう映っているんだろうか?

私の気持ちがにじみ出ていないかと、若干焦りつつ、

でも、いつものように振る舞って見せた。


・・・さっきの出来事が嘘のようだった。

まさか、夢だったんじゃないだろうか?


そう思えるほど、美麗社長は、社長として、淡々と仕事を進めていた。

…こちらは、内心穏やかじゃないって言うのに、

美麗社長はビクともしていない。

・・・流石、と言うべきか?
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