彼氏契約書
重役専用駐車場だけあって、

人の出入りは少ない。


蒼空は、サッと助手席を開けてくれて、

私はそれに従い助手席に座った。


「買い物行こう」

「…買い物って、デパートですか?」

「ううん、スーパー」

「…一体何を?」


「夕飯の材料に決まってるじゃない」

「…作ってくれるんですか?」

ちょっと驚いた顔の蒼空。


「失礼ね、ちゃんとした料理できるわよ。

お邪魔するんだから料理くらい作ったっていいでしょ?」


私の言葉に笑顔で頷いた。


買い物をして、ああでもない、こうでもないなんて言い合いながら、

楽しく買い物をする。

普通の恋人なら、当たり前の事なのに。

それすら許されないなんて。


「・・・みおさん?」

「・・ん?」
< 96 / 173 >

この作品をシェア

pagetop