恋するほど   熱くなる
「まだライターになりたいと思っているんだろ?」

「それはこの二ヶ月間すっかり忘れていました。とても忙しかったので。」

「美莉、君は正直だな。これからも僕には何でも思ったこと全てを吐き出してくれないか。僕はいつも君の全てを知っていたいんだ。」

「私の全ては私にだってわかりません。荒木さんは自分で自分の全てを把握してられるんですか?」

「ストップ。君は少々哲学的だ。物事を難しく考える癖がある。僕はこの二ヶ月君を見てきてそう思った。レポートも全て目を通したよ。僕も正直に言おう。君はモデルよりもライター向きだ。将来は物書きで食べていける人間だと確信している。どお?少しは安心したかい?」

「荒木さんからそんな風に言ってもらえるのが意外です。」

「あっはっは、僕は初めに言っただろ?モデルとライターの両方になれると。忘れた?」

「よく覚えています。」

「そうだろ、そうだろ。」

「荒木さんはこの先一年間私のマネージャーとしてそばにいてくれるんですよね?」

「そうだよ。何で?」

「じゃあ、来年の今頃はまた新しいモデルを探すんですね?」

「どうかわからない。君次第だと思う。一年後の僕は君に左右されると思う。」

「そうですか。」

「質問の割りにはずい分あっさりした返事だな。」

「荒木さんと話していると楽しいんです。」

「そうか、そうなのか。」

二人で笑った。

< 21 / 105 >

この作品をシェア

pagetop