恋するほど   熱くなる
「荒木さん、私はモデルとして仕事ぶりはどうですか?」

「何、突然?」

「半年先までスケジュールが入っていて圧迫されるんです。自分の未来が白紙じゃないから。」

「面白いな。今までそんな風に言ったモデルは君だけだ。皆は一ヶ月先のスケジュールが入ってないとビビッていた。何としてでも埋めてくれとね。君は逆だ。今の君がどんなに空白の未来を求めても、日に日にどんどん埋まっていく。嫌なのか?もう嫌になった?」

「いいえ、嫌になったわけじゃありません。不安なんです。私の仕事が決まれば決まる程、荒木さんが多忙になっていくのを見ていられないんです。」

「そんなことを心配しているのか?無意味だ。僕が壊れるとでも言いたいのか?」

「はい、荒木さんがいなかったら今の私はいないんですから。」

「嬉しいことを言ってくれるじゃないか。君のマネージャ-としてこれ程やりがいのある仕事は他にないと言っていい。僕がこの仕事に夢中になってどこが悪いんだ?」

「お願いです。もう少しペースダウンしてください。」

「ダメだ。それは出来ない。」

「どうして?荒木さんなら何とでもできるでしょう?少しくらい減らしても誰にも文句は言われないでしょう?」

「・・・・・」

「どうしてそんなに我夢しゃらに仕事をしなければならないの?どうして?」

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