恋するほど   熱くなる
私は十二作目の詩を書き終えてペンを置いた。

「少しすっきりしたわ。どうしてこんなに危ないフレーズばかり頭に浮かぶのかしら?欲求不満?私が処女だから?」

荒木さんからメールだ。

すぐ事務所へ来るように、か。

「連載を辞めたらあの雑誌は売上がダウンかしら?ちょっと気にしたりして。」

私は事務所へ向かった。

歩いてすぐだった。

「こんにちは。」

「美莉、待っていたよ。こっちに来て。」

「何か問題ですか?」

「君の詩が使えそうなんだ。今までに書いたものを全てプリントアウトしてくれないか?」

「すぐ持って来れますけど、いきなりどうしてですか?」

「君を作詞家としてデビューさせる。」

「本当ですか?」

「本当だ。ウソを言ってどうする。君の詩を買いたいと言ってきた。」

「そうなんですか?嬉しいです。」

「明日先方と顔合わせをする予定だ。それから君は先方の専属になるから詩は社外に漏れないように注意すること。何年の契約になるかは未定だ。」

「わかりました。私を専属にって先方はどんな方なんですか?」

「会ってからのお楽しみだ。」

「そうですか。」

「ミュージシャンだが君のことは彼らにはまだ何も言ってないからそのつもりでいるように。」

「わかりました。」

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