恋するほど   熱くなる
ある夜

私はいつものように好きな白ワインを飲みながらチョコレートを口の中で溶かしていた。

パソコンに向かい

バリアーを検索して『切な』をダウンロードした。

画面の中で歌う卓巳を見つめながら音声を一番小さく下げた。

最初に卓巳に出会った頃より

今はもうそんなにドキドキしなくなった自分を確認できた。

彼の瞳に見つめられただけで

自分をコントロールできなかったあの頃よりも冷静でいられるようになった。

たぶん卓巳にときめいていた気持ちを全て詩に吐き出したからだと思った。

私は自分の中のものを外に出し切れるだけ出し切ると納得できるのだった。

そして次に進んでいけた。

最近書く詩は自分でもつまらない内容のものばかりだった。

でもそういう時があってもいいのではと思っていた。

だからまともな詩だと思いつつも書き続けていた。

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