恋するほど   熱くなる
「荒木、美莉の詩がまた変わった。おまえ、どう思う?」

「そうだな、過激でなく、切なくもない。」

「俺が思うに、これは大人の女の詩だ。」

「なるほど、そうだな。」

「これは大人の女の詩だ。」

「須山、だから何?」

「おまえ、わからないのか?」

「大人の女の詩だと、マズいのか?」

「違う。美莉には男がいるってことだ。」

「だから、どうなんだ?」

「荒木、おまえ、美莉の男が誰だか知っているのか?」

「いや、確信はない。」

「くそ、知っててどうして俺に言わないんだ?」

「須山、彼女に男がいようと、それが誰だろうと僕達には関係ないだろ?ビジネスに私情は持ち込まないよ、彼女は。」

「俺はそうは思わない。彼女にそいつと別れさせる。」

「須山、おまえにそんな権利はない。」

「誰なんだ?美莉の男は誰だ?」

「僕は反対だ。よく考えろよ。」

「メンバーの一人か?そんなはずないが、俺が目を光らせているから。」

「須山、彼女の恋人が誰だがわかったら、そいつに何と言って別れさせるんだ?」

「単刀直入に言ってやる。」

「無理だよ。」

「どうしてそこまで言える?」

「相手が悪すぎる。」

「誰なんだ?」

「リーダーの卓巳だ。」

「ウソだ。あり得ない。」

「あの二人は決して離れない。」

「・・・・・」

須山は無言だった。

「卓巳に聞いてみるんだな。バリアーのマネージャーとしての手腕を発揮できるかも。」

「もし、俺が別れろと言ったら?」

「バリアーは地獄へ落ちるよ、美莉とともに。」

「そんなにもあの二人は強くつながっていると言うのか?」

「そうだよ。彼らは誰にも止められないと思う。」

「マズいな。俺はそこまで予測できなかった。」

「須山、おまえならあの二人をどう動かす?」

「荒木、おまえ俺に似てきたぜ。以前のおまえはそん風に言うヤツじゃなかった。」

二人は笑った。

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