恋するほど   熱くなる
今日は午後からリハーサルが予定されていた。

僕は会場となるホールへ足を運んだ。

美莉の様子をチェックしたかった。

今回はスクールではなくバレエ団のリサイタルだ。

ダンサーはスクールの生徒たちとは全く違った。

まず、雰囲気に和みがなく個々のプライドが強かった。

踊りに妥協がなくリハーサルも本番並みだ。

美莉は最後だった。

僕は客席の最前列に座って舞台を見上げていた。

関根先生はマイクを片手にダンサーを一人一人チェックした。

美莉の番になった。

他のダンサー達は皆僕の後ろの席に陣取って舞台へ鋭い目を向けていた。

肝心の先生はまだ舞台の外にいてマイクを握っていた。

そこへ美莉が袖から出て中央へ歩いて来た。

反対側の袖から男性ダンサーが出てきて彼女の後ろに立ち

二人はポーズを取った。

音楽はまだかかっていなかった。

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