恋するほど   熱くなる
僕は後ろの席に座ったダンサー達に聞いた。

「美莉の相手役は何と言う名前かな?」

「ああ、涼のこと?」

「高野涼一だよ。先生の愛弟子。」

「そうか、ありがとう。」

他の誰かが言った。

「涼は美莉のことが好きらしいよ。」

「わかる、わかる、俺も好きだから。」

「美莉は先生の宝物なのよ。誰も好き勝手できないのよ。」

「俺も一度で言いから彼女を持ち上げてみたいよ。」

「私じゃ、ダメだってこと?」

「まぁな。」

「美莉は私達とレベルが違うのよ。あんた達には高嶺の花ね。」

「そうだよな。」

「わかってる。涼が羨ましいよ。」

僕は美莉と踊る涼を見つめた。

彼はたぶん美莉よりも年下だと思った。

今見たリハーサルでさえ

かなり際どいシーンが幾度もあった。

卓巳が涼にジェラシーを感じるかは別として

僕は美莉と卓巳のアーティスト魂を手の平で転がしてみたいと思った。

< 87 / 105 >

この作品をシェア

pagetop