恋するほど   熱くなる
「荒木さん、昨夜は大変でしたね。マダムのお色気がムンムンの中で。」

「美莉、須山には何も言うなよ。僕の一番苦手な分野だ。もうこりごりだ。」

「では私は出掛けてきますね。少し早めに来るように言われましたので。」

「運転に気をつけて。」

「はい、大丈夫です。帰りにメールを入れます。」

「僕は仕事をしているよ。何かあったら連絡して。」

「はい。」

私はアランのいる別荘へランチに招待された。

その前に彼は私に見せたいビデオがあるらしかった。

「アラン、素晴らしいわ。これは日本公演だったのね。私、ちっとも知らなくてごめんなさい。」

「いや、来年も日本でやるつもりだ。きっと観に来てくれるね、君なら?」

「もちろんです。」

「どお?ちょっと踊ってみないか?」

「あなたとですか?」

「そう、こちらへ来て。」

アランは私を昨夜パーティーを開いた広いリビングへ連れていった。

彼は私の後ろへ回り手を取った。

彼にリードされながら軽くステップを進めた。

彼は吹き抜けの天井へめがけて私をリフトし

抱き上げてそのまま静止し

次の呼吸で身体を曲げて私を床すれすれまで抱いたまま斜めに降ろした。

私の背中にぐっと力を入れて反らせた時

彼の熱い息が私の反った喉元に吹き流れて彼の顔が真近にあった。

「美莉、君と踊りたい。イエスと言ってくれる?」

< 93 / 105 >

この作品をシェア

pagetop