恋するほど   熱くなる
アランは私を抱きかかえたまま動かなかった。

私は彼の目を見つめた。

「アラン、私はプロではないです。」

彼は私を真っ直ぐに立たせて言った。

「私は今まで多くのパートナーと踊ってきた。プロアマ問わずにだ。君はどこのバレエ団にも所属していないフリーのダンサーだと聞いた。違うかい?」

「そうですが、レッスンを受けている先生がおります。もちろん契約もしています。」

「それは問題ない。私のパートナーになってみないかと言っただけだ。ちゃんとした稽古場でもう一度君と踊りたい。その時決めたいと思う。明日ウェリントンでスタジオを借りるから、君はレオタードとシューズを用意してくれないか?荒木には私から連絡を取るよ。」

「わかりました。」

予想外の展開になってしまった。

荒木さんは何と答えるのかしら?

私はアランとランチを楽しんだ。

日本公演の後、京都へ行き、日本の美しさに魅了されたと彼は話しながら

次の公演後にどこへ行きたいかを私に聞いてほしいらしかった。

「美莉に案内してもらえたら最高だが?」

「今から約束はできないです。」

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