秘密の暮らし

はぁ……

送ってもらったのにちゃんと目を見てありがとう出来なかったな……。


しょんぼりクラスに向かっていると後ろから肩をポンッっと叩かれた。


「橘っ!おっはよ!」

「ぁ……雅史(まさし)くん……おはよ。」

声をかけたのはクラス1のイケメンと評判の 青柳雅史くんだった。

スタイルよくて、足が速い。
頭もよくて、おまけにイケメンだから……女の子たちから絶大な人気を誇っている。

まぁ。私には啓のほうが……かっこイイって思ってるけど……。

雅史くんはいい人ってゆーイメージが強い。


「なにしょんぼりしてんだよ!今日は体育あんだぞ?」

「え、?あ……しょんぼりしてた?……全然平気なんだよ?」

なんで分かったの。
しょんぼりしてたって……

「そりゃ……分かるよ。…………橘が……元気ないことくらい……」



「あ、雅史くんはみんなのことよく見てるもんね!いやー、心配かけてごめん!超元気!」

「…………………………。」

ん??
なんで雅史くんは黙ってんの?

「まぁいいや。橘。チャイム鳴るぞ。」

「ふぇ?あ゙!や、やば!ってか!ま、雅史くんは大丈夫なの?」

「俺は走れば楽勝だしな。」

「な、なにそれ!早く行こっ!」

そう言って私はクラスへ駆け込んだ。


ガラッ)

「ふーー。セーフ………………」

「……あと2秒で遅刻だったからな。」

げ。先生……。

何さ。起こしてくれなかったのに……。

「す、すいません……。」

1番前の自分の席に座ると
後ろの彩からツンツンとつつかれる。

「あ、おはよ。」

「遅刻とか珍しいね?啓くんに起こされなかったの?」

ホームルーム中にこっそりと話し出す。

「…………後で事情話すよ……」

「ほら!そこ!ホームルーム中だぞ?話してると化学の課題増やすからな!」

「「……ぁ……すいません…………」」

「はい、今日も1日頑張ってな。以上!1時間目の準備してなー。」

先生が教室から出ていく。

「んで?菜々はなんで寝坊したのよ?」

彩が興味津々に聞いてくる。

「……それが……………………。」



「ぇぇぇぇぇええええ?」

全て話すと彩が大声で叫んだ。

「ちょ、彩そんな驚く?」

「だって!…………菜々はもぅ……初めて……しちゃったんでしょ?」

あ……そこ?

「………………。ま、まぁ……」

「いいなぁ…………」

そーいや、彩に話してなかったっけ。
既に2回ほど………………///

「あ!赤くなってるし!リア充じゃんか!」

「彩だって!」

「だって私には……翔が…………」

「橘っ!遅刻しなくて良かったな!」

?!?

私の肩を後ろから引き寄せたのは雅史くんだった。

「ま、雅史くん?」

「橘もう寝坊すんなよ?」

そう言ってクシャっと私の頭を撫でる。

「ね、寝坊はもうしないし!」

「あー、1時間目数学かよ。ダリーな。」

「あ、そ、だね?」

なんか……雅史くん変じゃない??

彩も感じたのか不思議そうな顔をしている。

「あの……雅史くん?今日変だよ?」

「………………。ん。あ、ごめん…………」

そう言うと雅史くんは何事もなかったかのように席に戻った。

一体なんだったの?

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