隣の席の姫野くん。



「川瀬?」


その声に作業をとめて、顔をあげた。



「…ど、どうしたの?」



なぜかそこには、汗だくの姫野がいた。



「どうしてって!あのLINEみたら普通に心配すんだろ!」




姫野は少し強めにそう言って、そのあと小さな声でごめん、と謝った。



「川瀬。お前じゃないんだろ?」



少し腰を屈めて、私の目を見てそう言ってくれた姫野。



「お前が好きだから言ってるんじゃねぇよ?俺は川瀬をずっと見てきたんだ。お前がそーゆー奴じゃないってことくらい、分かるよ」



そう言う姫野の耳は真っ赤だった。



本人は気づいてないんだと思うと笑えてきたけど



笑えなかった。




「姫野、こっちみないで」


姫野に泣き顔なんか見られたくない。



ブスか可愛いか、どっちを言うか分からないけど馬鹿にされる。




そう思ったのに






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