隣の席の姫野くん。




俺がそう言うと、しまったと言う顔をする秀平。




俺が気付いてないとでも思ってたわけ?


「おま…いつから!」



「いいからいいから~。電話かけといたから」



橋田の番号を登録して、勝手にかけておいた秀平の携帯を手渡すと、みるみるうちに秀平の顔は赤くなっていった。



これは貴重だ。


へぇ、そんなに橋田のこと好きなんだ



「も、もしもし橋田?」


橋田が電話に出たらしく、秀平の冷静を装った焦り方には笑いが止まらなかった。



秀平の橋田に対する気持ちに気づいたのは、俺が橋田と関係があるとからかわれたあの日。


あのときの秀平の妬いてる顔と言ったらねぇ?



たぶん俺以外のやつにはいつもと同じ真顔に見えたと思うけど、俺には恐ろしいくらい不機嫌なのが分かった。



秀平がこんな顔をするってことに衝撃を受けたのを覚えてる。



まぁ、このときは自分のことで精一杯で、秀平を気にかける余裕はなかったんだけど




「おい昂。」


「ん?」


秀平を見ると、俺を睨みながらも橋田との電話のせいで口がにやけていた。



「橋田がここの場所わかんねぇってさ」



そりゃそうだよな。


ほんと、俺って無計画。


てか焦りすぎ。














< 128 / 300 >

この作品をシェア

pagetop