隣の席の姫野くん。
俺がそう言うと、しまったと言う顔をする秀平。
俺が気付いてないとでも思ってたわけ?
「おま…いつから!」
「いいからいいから~。電話かけといたから」
橋田の番号を登録して、勝手にかけておいた秀平の携帯を手渡すと、みるみるうちに秀平の顔は赤くなっていった。
これは貴重だ。
へぇ、そんなに橋田のこと好きなんだ
「も、もしもし橋田?」
橋田が電話に出たらしく、秀平の冷静を装った焦り方には笑いが止まらなかった。
秀平の橋田に対する気持ちに気づいたのは、俺が橋田と関係があるとからかわれたあの日。
あのときの秀平の妬いてる顔と言ったらねぇ?
たぶん俺以外のやつにはいつもと同じ真顔に見えたと思うけど、俺には恐ろしいくらい不機嫌なのが分かった。
秀平がこんな顔をするってことに衝撃を受けたのを覚えてる。
まぁ、このときは自分のことで精一杯で、秀平を気にかける余裕はなかったんだけど
「おい昂。」
「ん?」
秀平を見ると、俺を睨みながらも橋田との電話のせいで口がにやけていた。
「橋田がここの場所わかんねぇってさ」
そりゃそうだよな。
ほんと、俺って無計画。
てか焦りすぎ。