隣の席の姫野くん。
「…姫野?」
やっと姫野に追い付いて、ワイシャツの裾を引っ張ると姫野はまたぷいっと顔をそらした。
…なんでよ。
「ちょっと!こっち向きなさいよ!」
ぐいっと腕を引っ張ると
「触んなよ」
左手で口元を隠して顔を真っ赤にしている姫野が見えた。
「え?姫野?」
「触んな」
また顔をぷいっとして一人で資料室へ歩いていってしまった。
「触んなって…」
そんなに私のこと嫌いだったんだ!!!!!!!
顔を真っ赤にするくらい私に怒ってて、私の顔みたくないからさっきから顔そらしてたんだ!!!!!!!
あそこで笑った私も悪かったけど、そんなに嫌われてたなんて…
私は、姫野と一緒でちょっと嬉しかったんだけどな
「……っ!」
気付いたら涙が溢れてて、止められなくて、どうしようもなかった。