隣の席の姫野くん。
演劇…ってもうすぐ始まるじゃん!
姫野が出る演劇。
姫野が教えてくれなかったから、パンフレットを盗み見たところシンデレラをやるらしい。
でも、配役は当日のお楽しみ。
だから私は姫野がなに役なのか知らなかった。
「はいこれ!ここから撮ってくれればいいから!よろしく!」
本部の責任者の先輩は私にカメラを預けてきた。
家庭用のビデオカメラよりちょっとだけ大きな物だった。
撮影者用の、周りの生徒より高い椅子に座るとなかなか特等席。
ステージがよく見えた。
『間も無く演劇、シンデレラが始まりますので席についてください』
さっきの先輩の声が聞こえて、私はカメラの電源を入れた。