隣の席の姫野くん。
このみside
しっかりとステージ全体が写るようにセットして…
よし、あとは場面に応じてズームしたりするだけ!
「今年は誰が選ばれるんだろうね~」
私の後ろから聞こえてきた会話。
今日の座席は学年ごとに分けられてて、私は出入り口付近にいた。
たぶんこの辺りの席は一年生だったはず…
演劇が始まるまで、あともう少し。
私は全神経を耳に集中させる。
「え?なにそれ。誰か選ばれたりするの?」
「毎年この劇でやるのって、王子さまが出てくるのよ。」
そういえば、去年はたしか白雪姫だった気がする。
「でね!その王子さまの相手役のお姫様を、当日に王子さまが選ぶのよ!」
その話をしたあたりから、はしゃぎまくってた一年生。
一年生って、若いわ~
でも、王子さま役って誰なんだろう。
姫野じゃないと、いいな。
姫野なら私のこと選んでくれるかな。
他の人に見つかる前に。
私のものにしたい。