隣の席の姫野くん。



『昂~!昂って私が好きだったんだね!』



私にうざいとか言った人と同一人物とは思えない高い声で姫野にすりよる笹野さん。



そんな声で姫野の名前呼ばないでよ!


姫野にくっつかないで!



自分に素直になってみて思う。


私って意外と独占欲強いんだなって。




『俺がこいつとくっついちゃう前に、俺になにか言いたいひといますかー?』



あぁ、だめだ。



春には悪魔の声に聞こえてたのに。


なんだろう、声まで大好きだなって。



好きになるとふとした瞬間に、私この人好きだなって思う。


って、ここで姫野になにか言わないと笹野さんのものになっちゃうの?



あ、やばい泣くかも。



涙がこぼれそうになって、姫野が笹野さんを呼んでから一度もあげていなかった顔をあげた。




「…っ!」





うそ…


姫野がこっちみてる…




『んじゃあ、そこの涙目のカメラマンさん?どうぞ?』








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