隣の席の姫野くん。
『ごみでしょ?もう使えないのよ!?ゴミじゃない!』
『ゴミじゃないよ!このメイド服だって、執事服だって…みんなで作ったんだよ!?下校時間ギリギリまで残って…家でやってきてた子もいたの!』
そう言うと川瀬の目から涙が流れた。
『もう使えないものでも、みんなの一生懸命な顔を思い出したら…私には捨てられなかった!どんなに怖いあなたの命令でも聞けなかったの!』
「このみ…」
橋田の声が聞こえた。
たぶん、クラスのみんなも同じだったと思う。
『川瀬…』
『う…うひっく…』
俺は泣きじゃくる川瀬を抱きしめた。
…なんで?
なんでこんなに周りを考えられる奴が、苦しんで泣かなきゃなんねぇの?
笹野は動揺しているのか、一点だけを見つめていた。
「おい、笹野。」
俺はマイクのスイッチを切って、笹野だけに聞こえるように言った。
「誰もお前が犯人だって気付いてない。このまま川瀬のせいにしたきゃすればいい。そんなことしたって俺は手に入んねぇし、お前の居場所消えるだけだ」