隣の席の姫野くん。
このみside
「姫野?」
劇を続行するらしい姫野を、不安になって見る。
さっきから、私の肩を抱いたり、抱き締めたり
されるけど、なかなか馴れない。
てゆーか、さっきまでは笹野さんのことで頭が一杯で気にならなかったけど…
人前で手を繋いでいる状態は、冷静になるとなかなか恥ずかしい。
「姫野~」
離してって伝わればいいな
そんな期待をしながら、姫野を見つめてみる。
すると、姫野はにやりとして
『シンデレラ…。私がこの国の王子です。』
『う、うん…』
そっか。姫野は王子さまだったんだっけ。
『シンデレラは、私が好きですか?』
『へっ!?』
姫野は意地悪な顔をして、私を見つめる。
『私はシンデレラが好きです。いや、川瀬このみが好きだ。』
急に姫野に戻った口調に、胸が高鳴る。
『お前は、どうなの?』
耳元で囁かれる、低くて少しハスキーな声にやられてしまった。