隣の席の姫野くん。
「川瀬じゃなくて、このみでしょ?昂!」
目を丸くした姫野が、ゆっくりと私を見た。
昂って呼んだだけなのに、顔が赤くなってる。
「このみー!」
しっぽを振る犬みたいに、抱きついてきた姫野、あ昂。
「はーい、よしよーし」
こそこそと逃げる男子生徒をみて、とりあえず安心。
「ねえ!みんなで写真とろうよ!」
そろそろ離してほしいな、なんて思っていた頃
ちょうどよく、のんちゃんがそう言ってくれた。
「俺、このみの隣な!」
「はいはい」
うっとおしいな、なんて態度をしながら嬉しい私は重症。
冷たくするのが私の愛情表現。