隣の席の姫野くん。
『もしもし?昂?』
なんだよ。母さんじゃねえか。
正直言うと、一瞬このみかもって期待した。
期待した分、そうじゃなかったときのがっかり感がすげぇ。
俺ってこのみのこと大好きなんだな、と改めて自覚する。
『今、秀ちゃんもいる?』
「いるけど~?」
秀平の方を見ると、ベットに横になってぼーっとしていた。
『だったらちょうどいいわ!あのね!母さんと父さんと奏ちゃんとね、秀ちゃんママと秀ちゃんパパと茜ちゃんとで、ちょっとフランスに行ってくるから!!!!』
「は?」
フランス?何言ってんの?
奏は俺の弟で5歳。
茜は秀平の妹で6歳。
「ちびっこまで連れてなんでフランス?」