隣の席の姫野くん。
「恵梨子さんなんだって?」
いつも通りに真顔の秀平が聞いてきた。
さてと、この真顔がどう崩れるのかな
「なんかうちの家族とお前んちの家族がフランス行くって」
「は?いつ?俺らも行くの?」
「俺らは行かねぇよ。その代わり、プレゼントだってさ」
言葉の意味が分からないと言いたげな秀平。
「親の癖に、彼女と家を好きに使えだと」
…好きに使えとは言ってなかったか
「は!?」
秀平は急に立ち上がると、うろうろし始めた。
「橋田と!?家で!?二人きり!?」
このままだと考えすぎて倒れそうだな。
そう思った俺は秀平の肩をつかんで取りあえず座らせた。
「いろいろ不安もあっけど、楽しみだな」
俺は秀平の背中をポンポンと軽く叩いてやる。
こうすると秀平は冷静になれるんだ