隣の席の姫野くん。




「じゃあさ…」


私は立ち止まっているのんちゃんの目線に合わせるように屈む




のんちゃんの目にはうっすらと涙が溜まっていたけど、私は微笑んだ。



「もし山下くんが望って呼んでくれたり、心配してくれたときは素直になろうね。」



私がそういうとのんちゃんの目からはみるみるうちに涙が溢れ出してきて



「うんっ素直になるっ。それに私からもなにかできるようにがんばるね」



涙を拭いながら一生懸命に話すのんちゃんが可愛くて仕方がない。




まあ、数分後にはいつもの強気なのんちゃんに戻ってたわけですが…




「このみ。私が泣いたこと誰にも言うんじゃないわよ?」



「…心得ておりますとも。」




そんな下らないやりとりを駅前のカフェでクレープを食べたりして



8時すぎには家に着いた。



昂に電話~っと



昂に電話するのも慣れたもんで、目をつぶってでもかけられる自信がある。




『…このみ?』




でも、いつまでたってもこの少しハスキーな声には慣れない。



このみ?と呼ぶ声に心臓がドキドキと反応する







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