隣の席の姫野くん。
実を言うと俺は女が苦手だった。
同じ生物と認められない。
考え方も感じ方もまるで男とは違う。
理解不能だし、理解したいともおもわなかった。
「げっ」
入学初日、川瀬が隣だって分かったときに発した言葉。
女かよ~。分かってたけどめんどくせー。
そう思っていた。
でも、知らない人ばかりの教室で立ち続けているのも浮いていて、仕方なく川瀬の隣に座った。
「あのっ」
めんどくさそうに椅子に浅く腰掛け、ポケットに手をつっこむ俺の態度は最悪だったと思う。
「あ?」
めんどくせー。
そう思いながら川瀬を見ると
「1年間、よろしくおねがいしますっ」
今では見ることができない赤い顔と笑顔で俺をみつめていた。