隣の席の姫野くん。
…溢れた、と思ったのに
「…んごっ」
「溢れてねぇからな。お前は泣いてない。セーフだセーフ。」
昂の服の袖が私の涙を拭っていた。
「…ったく、俺の為に可愛い格好してきてくれたんだろ?それなら怒ら…」
昂の言葉に顔が赤くなる。
…全部バレてたんだ
昂は自分が何を言っているのか気付いたらしく、また顔を赤くしていた。
そして、照れ隠しなのか私の目をゴシゴシと擦る。
「昂~!そろそろ痛いよ!」
「あ、わり」
私の言葉に素直に止めてくれた昂が急に愛しくなって、
「うおわ!!!!」
初めて私から抱きついてみた。