隣の席の姫野くん。
「キスさせてくれるっつーんなら離してやるよ」
意地悪く笑いながらそう言った昂。
キ、キスって…
私はあの日から昂にキスを許していない。
だって自分が自分じゃなくなりそうで…怖いんだ
あの時だって昂にキスされたらなんだかふわふわしてきて、もっとしてほしいだなんて思ってしまった。
そんなの自分じゃない気がして
「このみ?」
顔をあげると、昂は楽しそうにしている。
「早くしないと橋田と秀平帰っちゃうかもな~。誰かさんが遅刻してきたし~」
うっ…
ここで遅刻をだすなんて、なんて卑怯な奴なんだ!!!!!
「…どーするのかな?このみちゃん?」
このみちゃんって…
呼び慣れないその名前に心臓が跳ねた。
…ダメだ、私が私じゃなくなっていく。
キスしたいだなんて…