隣の席の姫野くん。




「キスさせてくれるっつーんなら離してやるよ」



意地悪く笑いながらそう言った昂。



キ、キスって…



私はあの日から昂にキスを許していない。



だって自分が自分じゃなくなりそうで…怖いんだ



あの時だって昂にキスされたらなんだかふわふわしてきて、もっとしてほしいだなんて思ってしまった。



そんなの自分じゃない気がして




「このみ?」


顔をあげると、昂は楽しそうにしている。




「早くしないと橋田と秀平帰っちゃうかもな~。誰かさんが遅刻してきたし~」




うっ…



ここで遅刻をだすなんて、なんて卑怯な奴なんだ!!!!!



「…どーするのかな?このみちゃん?」




このみちゃんって…




呼び慣れないその名前に心臓が跳ねた。



…ダメだ、私が私じゃなくなっていく。



キスしたいだなんて…

















< 236 / 300 >

この作品をシェア

pagetop