隣の席の姫野くん。
「…しだ」
遠くから声が聞こえる気がする。
「はしだ」
すごく落ち着く声。まるで山下くんの声のような…
「橋田!」
ような、じゃない。
山下くんだ!!!!
「はい!」
重いまぶたをむりやり開く
「俺風呂入ってくるからよけてもらっていい?」
目の前にはそう言って真顔でいる山下くんが
…避けるって?
私が不思議に思っていると
「橋田がそこにいたら俺立てないし」
そう言われて頭の下を見ると…
「…ぎゃああああ!すいません!!!!」
私の頭は山下くんの太ももに…いわゆる膝枕をしてもらっていた。
慌てて飛び退いた私を見て少し困ったように微笑んだ山下くん
「別に大丈夫」
そう言って部屋から出ていってしまった。