隣の席の姫野くん。
パタン、とドアが閉まると同時に体の力が抜ける。
山下くん困ってた…
あんな顔にさせたくなかったな
「やっぱり私邪魔かな」
ポツリと口からでた言葉
多分誰かにそうじゃないよって言ってほしいんだろうな
「なんで邪魔なの?」
びくっと肩が跳ねたのが自分でも分かった。
でも私の目の前にドアがあるから山下くんじゃないし…
ゆっくりと後ろを振り返る。
「な、なんだ~。姫野か~」
そこには窓枠に座る姫野がいた。
「なんだってなんだ。俺はケータイ取りにきた。」
そう言いながらクッションを蹴り始める。
「お、あったあった。」
姫野に似合わないオレンジのケータイを持つとなぜか蹴り飛ばしたクッションに座った。
「で?どうして浮かない顔してんのよ。大好きな秀ちゃんとのお泊まりなのに」
ふざけた口調のくせに姫野は真剣な顔だった。