隣の席の姫野くん。
「…山下くんに困った顔させちゃって、私いるの迷惑かなって。それだけ」
私は素直に姫野に相談したことが段々と恥ずかしくなってきて、うつむいた。
でも真剣な姫野の顔を見てたら言わずにはいられなくて…
姫野はこうやってこのみのことも素直にさせてきたのかな?
そう考えるとなんか納得できた。
意地っ張りなこのみが姫野なんかに泣きついた理由が…
「秀平に困った顔させるなんてさ、すげえよ?」
姫野は理解できない言葉を発した。
「あー、ごめん。意味わかんなかったよな?」
私の顔に意味わかんないって書いてあったのか、姫野は少し苦笑しながら丁寧に説明してくれた。
「あの基本真顔の秀平の表情崩すってすげぇことだよ。それにそれできるのって橋田だけ…っと。あぶねぇ。」
姫野は途中まで言って急に話すのをやめた。
そして慌てたようにまた話し出す
「とにかく!秀平の表情は貴重なんだ。色んな秀平の顔を見れてる橋田はほんとすげえよ。迷惑だなんて考えないで自信持てよ。」
そう言って笑った姫野は不覚にも少しだけかっこよかった。
…誰にも言わないけど
その時聞こえてきた階段を上る足音。
「やっべ!んじゃ帰るな!!!」
その音を聞いて怯えるように窓から部屋に戻っていった姫野
やっぱり変な奴~
そして私は何もなかったふりをしてベットに座り山下くんを待った。